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最新マニュアルがないっ!
GodoxのストロボやワイヤレストリガーはPCからファームウェアのアップデートができるのだけど、ダウンロードできるのは最新版のファームウェアだけ。ファームウェアの説明には最新版での変更点が書かれているだけで、最新版のマニュアルというのが存在していない様なのである(ダウンロードできるのは2015年8月版で製品についてたのと同じ、たぶん初版しかない)。つまり、最初のファームウェアの後、1つ前のバージョンまでに追加された物があったら、内容が分からない可能性があるということ。
ファームウェアのアップデート方法や確認方法は代理店のKPIのWebページを参照してほしい。
そもそもマニュアルが中国語と英語の記載しかないので、操作方法やファンクションの項目くらいは日本語にして備忘録として残しておこうと思ってこの記事を書いている。
Godox AD360II-C:ファームウェア V2.8
Godox X1T-C:ファームウェア V24
上に記載しているのが執筆時の最新ファームウェア。基本的にラジオスレーブでしか使わないので、光学スレーブやオンカメラでの設定などは省略する。
AD360II-C ワイヤレス選択ボタン操作
光学でも電波でもスレーブに設定すると液晶バックライトがオレンジ色になる。本体背面右下の赤く光っているボタンがテスト発光ボタンで、この上にあるボタンがワイヤレス選択ボタンとなっている。
ワイヤレス選択ボタンを押すたびに
オンカメラ→光学マスター→光学スレーブ→ラジオマスター→ラジオスレーブ→オンカメラ
とローテーションしていく。一度設定してしまえば電源を切っても状態は保持される。
AD360II-C モード選択ボタン操作
左下のOFF/ONと表示されている電源ボタンの上にあるのがモード選択ボタン。押すたびに
ETTL→マニュアル→マルチ→ETTL
とローテーションしていく。
AD360II-C ファンクションボタン操作
液晶真下に横に並んでいる4つのボタンはファンクションボタンと言い、液晶の下に表示されている機能に対応している。ラジオスレーブであれば初期状態では左から以下の4つとなる。
- MF/C.Fn
- 出力調整
- グループ設定
- チャンネル設定
上の4つはETTLモード、マニュアルモード共通になっており、マルチ発光モードだけ異なる。マルチ発光モードは普通の撮影では使わないので今回は省略。
1. MF/C.Fn
短く押すとフォーカスモードをAFとMFで切り替えられる。長く押すと(2秒以上)カスタムファンクション設定画面に遷移する。カスタムファンクションでAFをオフにするとMFモードにするかしないかの切り替えになる(AFの文字が出なくなる)。
カスタムファンクション一覧
- APO
- FEB ACL
- FEB
- AF
- BEEP
- LIGHT
- LCD
- ID(ファームウェアV2.8で追加)
- Sv LED(ファームウェアV2.8で追加)
APO
Auto Power Off:自動的に電源を切るかどうかの設定。
EOSの「外部ストロボ制御」→「ストロボカスタム機能設定」1に相当。オンでする、オフでしない。
FEB ACL
FEB Auto Cancel:ブラケット撮影の自動解除設定。一度撮影したら解除するか、そのままにするか。
EOSのストロボカスタム機能設定3に相当。オンで自動解除する。オフでしない。
FEB
FEB order:ブラケット撮影の順番を選択できる。
EOSのストロボカスタム機能設定4に相当。0→-→+か-→0→+のどちらかを選択できる。
AF
AF-assist beam:AF補助光の投光をするか、しないかを設定できる。
EOSのストロボカスタム機能設定8に相当。オンで投光する、オフでしない。
ラジオスレーブでオフカメラで使う場合は補助光LEDが被写体を向いているとは限らないため、オフ推奨。
BEEP
Beeper:チャージ完了したときに音を鳴らすか、ならさないかを設定できる。
EOSのストロボカスタム機能設定20に相当。オンでチャージ完了時音を鳴らす、オフで鳴らさない。オフカメラで使う場合は鳴らした方がチャージ完了ですぐにシャッターを切れるため便利だけれど、音を出すと周囲に迷惑がかかる場合はオフにするべき。
LIGHT
Backlighting time:背面液晶のバックライト点灯設定。
EOSのストロボカスタム機能設定22に相当。12Secで12秒後バックライトオフ、オフで常時オフ、オンで常時オン。
LCD
LCD contrast ratio:背面液晶の文字の濃さ設定。
0~9まで10段階に調整可能で0に近いほど薄く、9に近いほど濃くなる。ストロボカスタム機能設定には該当する項目がない。
ID
AD360II-Cは無線のチャンネル(32チャンネル)、グループ(5グループ)の他にID(1~99)を設定できる。送信機と全てが一致して初めて無線で動作する。
OFFは送信機のID設定00に相当する。OFFにしていても送信機でIDが00以外に設定されている場合は無視して動作するのではなく、動作しないので注意すること。
無線環境が悪いなどで、うまく動かないときにIDを追加するようにして、普段はOFFで問題ない。
Sv LED
Slave mode indicator:スレーブモード表示制御。
ストロボ前面にあるAF補助光用LEDがスレーブモード時にAFモードになっていると点滅する。これをオフにするか点滅させるかの設定。オンでAFモード時に点滅、オフでAFモード時に消灯。MFモード時は常時点灯してしまう。
カスタムファンクションまとめ
オフカメラのラジオスレーブでは、ストロボ本体が被写体の方を向いていないことも多いため、AF補助光は役にたたない。そこで以下の設定を推奨する。
- カスタムファンクションAFをオフ
こうすることでAFモードを使えなくなるので、一定の明るさを下回ってAFが迷ったときに補助光が照射されるのを制限できる。またAFモードが使えなくなるので、MF/C.Fnボタンを押してもMFモードかそうでないかの選択になり。MFモードにしなければAF補助光用LEDは点灯しなくなる。
2. 出力調整
ETTLモードの場合は1/3単位で+-3までの範囲で調整が可能。マニュアルモードの場合は1/1(フル発光)~1/128までの範囲で1/3単位で調整が可能。
3. グループ設定
A~Eのいずれかを選択できる。ボタンを押すごとに次のグループに変わり、Eの後はAに戻る。
4. チャンネル設定
1~32の間で変更ができる。ラジオスレーブではグループ、チャンネル、ID(カスタムファンクションで設定する)の3つが一致しないと動作しない。
AD360II-C 工場出荷時に戻すには?
ファンクションボタンの中央の2つ、RSTという表示があって線で繋がれている2つのボタンを長押しで工場出荷時の状態にリセットされる。
X1T-C CH/OKボタン操作
CH/OKボタンを押すとCH設定ができる、ここで設定するCHはAD360IIで設定したものと同じ数字にすること。複数のAD360II-Cを使う場合でもCHは全て統一すること。それぞれのストロボで設定を変更する場合は、それぞれを異なるグループに所属するようにする。
CH/OKボタンを2秒以上長押しするとカスタムファンクション設定画面に遷移する。
カスタムファンクション設定画面になっても押したままでいると(押しはじめから5秒くらい)、基本画面に自動的に戻る、このときに操作方法が切り替わる。操作方法は1と2があるがこの説明は後程。
カスタムファンクション一覧 C.Fn-●●(●●が数字)
設定でオフの場合は表示がOFFではなく–
- 00 Synchronization delay setting
- 01 Single contact mode
- 02 Zoom setting
- 03 PC sync socket as an input/output
- 04 Second curtain sync
- 05 Minimum power output value in M/Multi mode
- 06 Displayed groups
- 07 Beeper ON/OFF
- 08 Send the setting value forcibly
- 09 APP mode
- 10 RF ID value(ファームウェアV24で追加)
00 Synchronization delay setting
シャッターを切ってから、発光するタイミングを遅らせる設定。設定値は1~100。この設定値を100倍したものが遅らせる時間。単位はµs(マイクロ秒、百万分の1)。つまり最大値に設定しても遅らせることができるのは1/10,000秒になるので、どういうタイミングで使うのか不明。
01 Single contact mode
シングル接点モードのオン、オフの設定。カメラのシンクロ端子やX1Tのシンクロ端子からシンクロケーブルでトリガーを送るときに設定する…らしい? X1Tをホットシューにつけて、ストロボは無線で操作してしまうので、どうも使いどころが思い当たらないのである。電波状況が悪いところで使うことがあるかもしれない?
ちなみにこれをオンにしておくとX1Tがスタンバイモードに入らず常時オンのままになる。
02 Zoom setting
オフ、オート、20/24/28/35/50/70/80/105/135/200mmに設定が可能。オンカメラで1灯だけ使うときはオートにしておくと楽かもしれない。多灯かつオフカメラさらにライトボックスなどを使う場合はオフにすること。
03 PC sync socket as an input/output
X1Tのシンクロ端子をどう使うかの設定。カメラのシンクロ端子とX1Tをシンクロ端子でつなぐ場合はinput。X1Tのシンクロ端子とストロボのシンクロ端子をつなぐ場合はoutputを選択する。ケーブルでつながなければどちらでも問題ない。
04 Second curtain sync
キヤノンユーザーにはとても大事な機能。なんと純正の600EXII-RTでもラジオスレーブではできなかったラジオスレーブでの後幕シンクロが使えます!
キヤノンのスピードライトはオンカメラなら後幕シンクロが使えるのだけれど、オフカメラにすると使えないのである。それがX1T-CとAD360II-Cの組み合わせならできちゃいます。シャッタースピードが1/30~30秒の間という制限はありますが、遅いシャッタースピードでつかうことが普通な機能なのでこれでOK。オンにしておくことを推奨。
1/30~30秒の範囲を外れてハイスピードシンクロの範囲に入ればストロボ側が自動的にハイスピードシンクロモードになってくれるので問題なし。
05 Minimum power output value in M/Multi mode
最小出力値の設定。1/128か1/256を選ぶことが可能。AD360II-Cは1/128が最小出力なので1/128に。1/256にしても1/128より下に出力を絞ることはできない。単にX1Tで下まで絞ったように数値をいじれるだけで出力は1/128になる。
GodoxのモノブロックストロボAD600だと1/256まで絞れるので、この手の機種を使うときに設定する項目。
06 Displayed groups
X1Tの操作画面に表示するグループの数の設定。3か5を選択可能。僕は2灯で使用なので5つのグループを表示してもグループ変更の操作が面倒なだけなので3に設定している。
07 Beeper ON/OFF
ストロボのチャージ完了音のオンオフ設定。ストロボ本体のC.Fn設定と同じ。X1Tで変更をするとストロボ側のC.Fn設定も変更される。
急に音をとめなくちゃならなくなったというときにX1Tから操作すると複数のストロボの設定を同時に変更できる。逆に個別に設定している場合は全部統一されちゃうので、ストロボで個別に設定する必要がある。
08 Send the setting value forcibly
設定内容に変更があったときにストロボに送信するか、トリガーを送る前に毎回全ての設定を送るかの設定。オフの場合は設定変更をしたタイミングでストロボに送られる。オンの場合は設定変更がなくても強制的に設定内容をトリガー前にストロボに送る。
電波状況が悪いなどで、設定が反映されないことがある場合はオンにするのがいいだろう。
代理店KPIの日本語版補足は語訳で、ここに書いてあることが正しいので信じてほしい(笑)
Forcibly send the setting values before firing even though the values has not been changed.
GodoxにあったC.Fn09まで記載されているマニュアルには上のように書かれている。「たとえ設定に変更がなくても、トリガー送信前に設定値を強制的に送ります。」という意味。
ちなみにKPIの翻訳はここにあります。ニコン用とキヤノン用の補足のみ。
http://www.kenko-pi.co.jp/pdf/X1_CustomFunction201801.pdf
フラッシュトリガー前に設定値を強制的に送信
ただし、設定値の変更は不可
C.Fn-10が反映された補足が出るときには直ってるといいけども…。
09 APP mode
APPモードのオンオフの設定。APPってのが何の略なのかがわからないのだけれど、液晶にはAPPとしか表示されなくなってストロボの設定変更などが行えなくなる。操作できるのはチャンネル設定とカスタムファンクション設定だけ。普通に使う分にはオフのままにしておかないと困る。
10 RF ID value
AD360II-CではC.Fn IDにあたるもの。ストロボで設定したIDと同じ数値をセットする。ストロボでOFFに設定した場合はX1Tでは00とすること。
X1T-C C.Fnまとめ
僕のオススメ設定はこちら。
- 01 Single contact modeをオン
- 04 Second curtain syncをオン(必ずやろう!)
01はスタンバイモードに入ってしまうと、X1T-Cの何かのボタンを押すかカメラでシャッター半押ししないと復帰しないので、設定変更をしようとするとちょっとテンポが悪くなることがあるので僕はオンにしてスタンバイモードに入らないようにしてしまっている。気にならなければデフォルトのオフのままでOKだ。
04に関しては、後幕シンクロなんて使わない!という場合はオフにしてほしい。1/30以下のシャッタースピードは普通にストロボを使った撮影では使わないので、オンにしておいても影響は出ないはずだ。普通にストロボ光100%で撮影する場合でも1/125とか1/60。
X1T 2つの操作方法について
デフォルトを操作方法1として、CH/OKボタン長押しで変更したものを操作方法2とする。全部の操作がガラっと変わるのだけれど、操作方法2つ分を書くととてつもなく長くなってしまうので、実際に両方試してみて自分が使いやすいと感じた方を選んでほしい。
ちなみに操作方法2から1に戻すのもCH/OKボタンを5秒くらい長押しだ。
どちらも共通している操作で、覚えておいた方がいい操作が1つあるので紹介しておこう。
GRボタン長押し(2秒くらい)
これはとても便利なので是非覚えておいてほしい。複数のグループの値を同時に同じ数値だけ増減できるようになる。
例えばAとBのグループを使っているとしよう。Aのグループは1/64でBのグループは1/32の出力設定。
これをどちらも1/3段階増やしたいとする。普通の操作だとグループAを選択して1/3増やす、グループBを選択して1/3増やすとなるのだけど、長押しで全グループ選択してしまえば1回で両方とも1/3増やすことができる。統一するのではなく、同じだけ増減できるというのがポイントだ。
まとめ
頑張った。
GodoxのAD360II-CとX1T-Cの面倒くさいところの情報はかなり網羅してるはず。C.Fnが今後も増えたり変更があったらフォローしていくつもりなので、活用してほしい。
それと、もし詳しい方がいたらX1T-CのC.Fnの「Synchronization delay setting」と「Single contact mode」を使う状況などコメントで教えていただけるとうれしい。
後幕シンクロはこの記事を書いていて、初めて気が付いた(笑) テストで撮影となるとどうしても動かないものの撮影になるので後幕シンクロなんて使わない。