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できると思っていたのに! 実はできない後幕シンクロ
キヤノンの純正スピードライトはカメラに取り付けた状態(オンカメラ)では先幕シンクロ、後幕シンクロ、ハイスピードシンクロの3つの動作モードを選択することができる。しかし、カメラから離して無線で制御をする(オフカメラ)環境だと先幕シンクロ、ハイスピードシンクロの2つしか選択できなくなってしまう。
上の画像はカメラにキヤノン純正のトランスミッターST-E3-RTを付けた状態でシンクロ設定を開いたところ。後幕シンクロがグレーアウトして選択できなくなっている。
実はキヤノンの純正スピードライトを使っていても、オフカメラで後幕シンクロができる方法があるのだ。今回はこれを紹介しよう。
オフカメラで後幕シンクロをしたければ、純正のトランスミッターは使わない
純正スピードライトでオフカメラ後幕シンクロを行う方法。それは純正のトランスミッターを使わずにGodoxのX1T-CとX1R-Cを使うという方法。
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X1Tはカメラに取り付ける送信機で、X1Rはスピードライトを取り付ける受信機。
純正スピードライトに無線の機能がついていても、受信機であるX1Rを使ってラジオスレーブにする。純正トランスミッターを買うお金でX1T-CとX1Rを買って余裕でお釣りがくる。
純正トランスミッターを使った場合との違い
スピードライトにX1Rを取り付ける以外は操作も一緒。カメラ本体でスピードライトの設定変更が可能だ。X1T-C、X1R-Cはともに型番の最後にCがついているのでキヤノンのTTLに対応している。マニュアル設定、TTLともに制御が可能。
キヤノン純正のST-E3-RTもgodoxのX1T-Cも操作性はあまりよろしくないのでカメラで設定変更ができるのはありがたい。
X1Tの設定で後幕シンクロを有効にすると、上の写真のように液晶右下に三角が3つ並んだアイコンが表示される。カメラ本体のストロボ制御メニューの内容に関係なく1/30~30秒の間のシャッタースピードの時は自動的に後幕シンクロになる。設定するのはFn04。ファンクションの設定方法は下の記事のX1Tの部分を参考にしてほしい。
カメラ側のストロボ設定は「ハイスピード」にしておくのがオススメ。X1T-Cを取り付けても純正トランスミッターを取り付けた時のように先幕シンクロとハイスピードシンクロしか選択できなくなって後幕シンクロは選択できない。後幕シンクロは上で書いた通りで、シャッタースピードが後幕シンクロになる範囲になっているときにX1T-Cの設定がonになっていれば自動的に後幕シンクロになる。
なぜハイスピードに設定するのかというと、ハイスピードにしておかないとシャッタースピードの設定値が自動的にそのカメラのストロボを使った撮影で設定できる最速(1/125とか1/250)までしか設定できなくなるからだ。マニュアルモードで撮影してもシャッタースピードに制限がかかってしまうので、これを避けるためにハイスピードに設定しておく訳だ。
昼間の屋外で補助光としてハイスピードシンクロで使う以外は、ストロボ光100%で撮影することがほとんど。シャッタースピードは1/125とか1/100にするのが普通で、先幕シンクロで撮影していることになる。ハイスピードではなく先幕シンクロに設定していてもほとんどの場合は影響がない。
X1T-C、X1R-Cの良い点
- 価格が安い
- シャッタースピードに応じて自動的に動作が変わる
- 赤外線しかワイヤレスの方法がないストロボも無線化できる
- ストロボ発光以外の用途で使える
- Godoxとキヤノンのストロボを混在できる
価格に関してはキヤノン純正トランスミッターの半額くらいの値段でX1T-CとX1R-Cを購入できるのでコストパフォーマンスは抜群。
シャッタースピードの値に応じて後幕シンクロ、先幕シンクロ、ハイスピードシンクロと自動的に動作が変わってくれる。いちいち設定を変更しなくていいので、個人的には気に入っている。ただしスローシンクロ(遅いシャッタースピードで先幕シンクロ)を行いたい場合はX1T-C側でFn04をオフにしてあげないといけない。
僕の持っているストロボのうち、一番古いキヤノンの580EXIIは赤外線でしかワイヤレス発光ができない。しかし、X1Rをつければ無線でも使うことができる。つまり純正トランスミッターを使うと600EXII-RTは発光できるけれど、580EXIIは発光できないのだけど、X1TとX1Rを使うことで2台とも無線で発光させることができるのだ。防湿庫に眠っている少し古めのスピードライトも現役のストロボと同様に使えるようになる。新しくストロボを買い足すよりX1Rを1台買う方が安上がり。
ストロボ発光以外の用途で使用できるというのは、ワイヤレスリモコンとしても使えるということ。X1Tを手元に持ち、X1Rを付属のレリーズケーブルでカメラと接続する。TEST発光ボタンがシャッターになる。半押しもできる。ずっと押しっぱなしにすればバルブモードでシャッターを開きっぱなしにもできるけれど固定する機能はないので、ずっと指で押している必要がある。
Godoxとキヤノンのストロボの混在というのは、GodoxのX1シリーズの信号を受信できるGodoxのストロボはX1R-Cなしで、キヤノンのストロボはX1R-Cを取り付けて使うということ。こうすることでカメラに取り付けたX1T-Cの発光信号で全てのストロボを発光させることができる。
混在していてもカメラ本体のストロボメニューで設定の変更は可能なので、使い勝手としては問題ない(ただしGodoxのストロボはキヤノンのTTL対応モデルでないとTTL設定はできない)。
X1T-C、X1R-Cの悪い点
- CHやグループのロックができない
- たぶん防塵・防滴じゃない
CHとグループの設定ボタンがかなり軽くてちょっと触っただけで設定が変わってしまうことがある。暗いところでセッティング中に設定が変わってしまったのに気が付かずに撮影に入り、いざシャッターを切ったら発光しないということがあるのだ。
グループやCHはトランスミッターやカメラ本体からはいじれないので、ストロボの場所まで行かなくてはならないのが不便と言えば不便なところ。
あとは、おそらく構造から察するに防塵・防滴ではないと思う。純正のスピードライトは水没は無理だけれど多少なら濡れても大丈夫なような構造になっている。雨の中使ってて壊れたことはないけれど…。
まとめ
ストロボはオンカメラで使うよりもオフカメラで使った方が圧倒的に表現の幅を広げることができる。後幕シンクロは使い道がかなり限られるとは言え、面白い表現を生み出すことができる発光方式でもある。使える方がいいに決まっている。
それに純正のトランスミッターは高すぎる!純正トランスミッターST-E3-RTの半額くらいでX1T-CとX1R-Cのセットを購入できてしまうのだ。将来的に他社のストロボにシステムを変更するにしても、マニュアル設定であればX1R-Cに取り付ければどんなストロボも使えるはず(おそらくカメラからのコントロールは無理)。
さらにスタジオでレンタルの大型ストロボを使うとしても、カメラにX1T-Cを取り付けて、ジェネレーターにX1R-Cからケーブルをつないであげればワイヤレスでスタジオのストロボを発光させることができる。これも以外に便利。こういう用途も想定されているのだろう、ジェネレーターにつなぐためのピンジャック変換アダプタも付属している。
無線対応でないストロボも無線化できるので、赤外線にしか対応していないストロボもまだまだ現役で使えるようになる。すでにGodoxのストロボをオフカメラで使っているのなら、追加でX1Rを買うだけでいいので、かなり低いコストで1台増やせるはずだ。