目次
iPadで実画像を確認したい
テザー撮影のようにリアルタイムで確認する必要はないけれど、撮影したデータをそこそこ大きめの画面で確認する必要になるケースが。以前紹介したマンフロット Digital Director(以下MDD)を使えばほぼリアルタイムで撮影した画像(ただしJpeg)をiPadの画面で確認することができる。
しかし、MDDを使う場合はカメラとMDDをUSBケーブルで接続しておく必要があり、ブツ撮りのようなカメラを固定できる現場ならまだしも、ポートレート撮影のようなフォトグラファーが動く状況では、ケーブルを長くすると足元で絡んでトラブルの原因になりそうで使い勝手が悪かったのである。
そこで、リアルタイムでは必要ない場合は撮影がひと段落ついたところでメモリカードを交換。取り出したメモリカードからiPadに取り込んで確認及び選択をするという方法を試してみた。
予想できなかった不便な部分などもあるので、それも含めて紹介しよう。
前提条件
前提として環境は以下の通りとする。
- iPad Proでメモリカード内のJpeg及びRAWを確認できるようにする
- 対象メモリカードはSD及びCF
使う機材
- 9.7インチ iPad Pro
- Lightning to USB3 Camera Adapter
- パワーバンク
- USB-Lightningケーブル
- USB3.0接続のカードリーダー
iPad Pro
OSは最新のiOS 12.2で確認している。Lightning端子付きのiPad、iPhoneでLightning to USB3 Camera Adapterが対応している機種なら同じようなことができるはず。
Lightning to USB3 Camera Adapter
Apple Lightning – USB 3カメラアダプタ
売り上げランキング: 8,119
Lightning to USB3 Camera Adapterが今回のキーアイテムとなる。iPad ProのLightning端子にUSB機器を接続するための変換アダプタのような物。このアダプタが優れているのはLightning端子(メス側)を備えていて、外部から給電が可能な点。このおかげで消費電力の多いCF対応のカードリーダーも使うことができる。
僕はAmazonで購入したのだけど、Amazonの取り扱いではないマーケットプレイスから購入すると型落ちの製品が送られてきたりすると口コミにあったので、Amazonが販売、発送するものを購入すべきだろう。
パワーバンク
売り上げランキング: 4
パワーバンクはAdapterに給電するためのもの。手元にあるパワーバンクをいくつか試したところ、5V 2.0Aのものでは電力不足でカードリーダーが使えないと表示が出てしまった。僕の持っているパワーバンクの中ではAnkerの5V 2.4A出力のものだけがカードリーダーを使うことが出来た。Ankerのパワーバンクは安価かつ性能がいいので、オススメ。
電力不足だと上のようなダイアログが表示されて、写真appが起動しない。ACアダプタが使える環境であれば、一度iPad付属のアダプタを使用してみるといい。これで問題なく取り込みができれば、パワーバンクの供給電力不足ということになる。
USB-Lightningケーブル
パワーバンクからAdapterに給電するのに使うケーブル。iPadに付属のものでOK。
カードリーダー
カードリーダーはとりあえず自分で持っているものがあれば、それを試してみるのがいいだろう。ちなみに僕が使っているのはバッファローのカードリーダー BSCR20TU3というやつ。
持ち運び用と家に置いておく用にもう1つカードリーダーを買い足したので、そちらでも動作確認が取れた。バッファローの現行機種BSCR708U3。
BUFFALO UHS-II対応 USB3.0 マルチカードリーダー ブラック BSCR708U3BK
売り上げランキング: 3,904
接続
AdapterのUSB端子にカードリーダーを接続、カードリーダーにメモリカードを挿入して、パワーバンクからLightningケーブルでAdapterに給電。この状態でiPad Proに接続すると、しばらくしてiOSの写真appが起動しメモリカードの内容が表示される。
AdapterとiOSのバージョン次第で、初回のみAdapterのバージョンアップが行われるかもしれないけれど、普通にバージョンアップを行う。
写真appでのサムネイル表示はカードリーダーの性能に依存するので、転送速度の速いカードリーダーの方素早く表示される。USB3の古いカードリーダーを使ったところ、サムネイル表示が遅すぎて実用的ではなかったため、これはカードリーダーの性能依存だと気が付いたというわけ。
RAWファイルも含まれるメモリカードだとRAWファイルのサムネイル表示は時間がかかることを覚えておこう。
手持ちのカードリーダーで試してみて、遅いと感じたら読み込み速度が速いという評価のあるカードリーダーを購入するという感じでいいんじゃないだろうか。
問題点
- メモリカード内の画像を拡大表示できない
- 写真appではファイル名が表示されない
メモリカードからiPadへ画像のコピーが必要
メモリカード内の画像を画面の8割~9割くらいの大きさに表示することはできるのだけど、特定の部分だけ拡大して見るということができない。これでは写真の細かい部分のチェックができないため、僕の目指している使い方には沿わない。
上の画面キャプチャの大きさまでは手を離しても大丈夫なのだけど、これを拡大しようとすると指を離すと元の大きさに戻ってしまって、iPad内の写真を拡大表示するときのように拡大した状態で止めることができない。
またRAWファイルの場合はiPadにコピー前は非常に荒いサムネイルしか見ることができない。
ファイル名がわからない
iPadに画像を読み込んで、写真appでチェックを行い、OKカットには「お気に入り」チェックをしてもらうという運用をするのだけど、ファイル名が表示されないので、LightroomにRAWを読み込んでから、1枚1枚iPadとPCの画面を見比べていかなくてはならないのがちょっと面倒。
こういうときこそAdobeのクラウドストレージを使って同期させてしまえばいいのかもしれないけど、iPad版のLightroomはいまのところ使い勝手が悪いので、個人的には使いたくないのである。特にマスキングに関してはApple Pencilを使っても操作性は悪い。
今年中にはフル版のPhotoshop CCのiPad版がリリースされるので、これが実用に耐えるレベルだったらiPadで作業を完結させる環境の構築も考えるつもり。撮影旅行などにPCを持って行かなくて良いのいうのは、かなりのメリットなのだ。
まとめ
僕のカメラはメモリカードスロットが2つあるので、スロット1のCFにJpeg、スロット2のCFにRAWだけを描き込むようにして撮影している。確認が必要になったらスロット1のCFだけ交換して、iPadに一括読み込みさせる。この間もスロット1に別のCFを入れれば撮影は継続することができる。RAWを描き込んでいるCFには最初からの連続したファイルが存在しているので、Lightroomに取り込むときもカードの差し替えなどがなくて便利なのだ。
スロットが1つしかないカメラを使っている場合はJpegとRAWを同時に書き込む設定にしてiPadにはJpegだけコピーするようにする。もちろんRAWもiPadにコピーすることはできるので、iPad版LightroomでRAW現像することもできる。ただしRAWファイルは1画像のファイルサイズが大きいのでiPadに取り込むには時間がかかるのは覚悟しておこう。
屋外での撮影の場合、車のすぐ近くで撮影が可能であれば、機材はどれだけ持って行ってもさほど問題にはならないけれど、車から離れた場所での撮影では、持って移動できる機材の量にも限度がある。フォトグラファー1人であとはクライアントという場合は、今回のiPadにJpegをコピーして確認というスタイルが効率もさほど悪くないし、いい感じだと思う。